事業を運営する上で、個人資産を守りつつ、節税もしたいと考えたことはありませんか。株式会社を設立すれば、その両方を実現できる可能性があります。株式会社は、個人事業とは異なり法人格を持つため、事業上の責任と個人の責任を分けやすくなるほか、所得や事業規模によっては税制面でメリットを得られる場合があります。
多くの事業主が株式会社として事業を展開していますが、設立後も安定して運営していくには、一定の準備と継続的な対応が必要です。設立登記だけでなく、税務署などへの届出や毎年の税務申告、決算公告といった手続きについて、それぞれの期限を把握しておかなければなりません。必要な手続きを怠ると、延滞税などが発生したり、会社の運営に支障をきたしたりする可能性があります。法人設立届出書は、原則として設立登記の日から2か月以内に提出する必要があります。
このガイドでは、株式会社を設立し、運営していくための主な条件や手順から、よくある落とし穴を避けるための実践的なヒントまで、株式会社設立に関して知っておくべきことを解説します。
株式会社とは
株式会社は、株式を発行して資金を集め、その資金をもとに事業を行う会社形態です。会社そのものが一つの「法人」として扱われるため、個人とは別に契約を結んだり、財産を所有したりできます。
株主が負う責任は、出資した金額の範囲に限られます。つまり、会社が大きな借金を抱えたとしても、株主が個人の財産ですべて返済しなければならないわけではありません。
また、株式会社が得た利益には法人税がかかります。個人事業とは税金の仕組みが異なるため、所得や事業規模によっては、法人化することで税制上のメリットを得られる場合もあります。
株式会社設立の条件
株式会社を設立するには、会社の基本事項を決めたうえで、定款の作成や資本金の払込み、設立登記といった手続きを進める必要があります。ここでは、設立までの主な流れを簡単にまとめます。
発起人と会社の基本事項を決める
まず、会社の設立手続きを進める発起人を決めます。発起人は、商号や事業目的、本店所在地、資本金の額、発行する株式の内容など、会社の根本となる事項を決定します。これらは定款や登記に反映されるため、事業計画に沿って慎重に検討します。
定款を作成し、認証を受ける
決めた内容をもとに定款を作成します。株式会社の場合、定款は公証役場で認証を受ける必要があります。書面だけでなく、電子定款として作成することも可能です。
資本金を払い込む
定款の認証後、発起人は引き受けた株式に応じて出資金を払い込みます。払込みは発起人名義の口座で行い、後の登記申請では払込みを証明する書類を提出します。資本金は1円から設定できますが、事業に必要な資金や信用面も踏まえて決めることが大切です。
取締役などの役員を決める
資本金の払込みが済んだら、会社の経営を担う取締役などの役員を選任します。取締役会を置かない場合は、取締役1名でも設立できます。取締役会を設置する場合など、会社の機関設計によって必要となる役員や人数が異なります。
法務局で設立登記を行う
必要書類をそろえて、本店所在地を管轄する法務局に設立登記を申請します。申請は窓口、郵送、オンラインのいずれでも可能です。株式会社は設立登記によって正式に成立し、原則として登記を申請した日が会社の設立日となります。
設立後に必要な届出を行う
設立後は、税務署や自治体への法人設立届出など、各種の手続きを行います。従業員を雇う場合は、社会保険や労働保険に関する届出も必要になります。
株式会社に関係する主な税金
株式会社には、会社の利益に対する法人税のほか、地方法人税、法人住民税、法人事業税などが課されます。また、資本金や売上高、インボイス登録の有無などによっては、消費税の申告と納付も必要です。
法人税・地方法人税
会社の所得をもとに計算される国税です。
法人住民税・法人事業税
会社の所在地や所得などに応じて課される地方税です。法人住民税には、赤字の場合でも原則として負担が生じる均等割があります。
消費税
商品やサービスの取引にかかる税金です。新しく設立した会社でも、資本金や売上高、インボイス登録の有無などによって納税義務が異なります。
源泉所得税
役員や従業員に給与を支払う場合などは、会社が所得税を差し引き、国に納付する必要があります。
株式会社設立のメリット
株式会社には、出資者の責任を限定できることや、社会的な信用を得やすいこと、資金調達の幅が広がることなど、事業を進めるうえでさまざまな利点があります。
株主の責任が限定される
株式会社では、株主が負う責任は出資した金額の範囲にとどまります。会社が大きな負債を抱えたとしても、株主が個人の財産でそのすべてを返済する必要はありません。
社会的な信用を得やすい
株式会社は登記によって会社の情報が公開されるため、個人事業に比べて取引先や金融機関から信用を得やすい傾向があります。事業によっては、新規の取引や人材採用、融資の審査などで有利に働くこともあります。
資金調達の選択肢が広がる
株式会社は株式を発行して出資を募ることができます。金融機関からの融資だけでなく、投資家からの出資を受けることも可能になるため、事業の成長に合わせて柔軟に資金調達の方法を選べます。
税制上のメリットを得られる場合がある
法人と個人では税金の仕組みが異なるため、所得の状況や事業規模によっては、法人化することで税負担を抑えられるケースがあります。ただし、必ずしも節税につながるとは限らないため、必要に応じて専門家に相談すると安心です。
株式会社設立のデメリット
株式会社には多くの利点がありますが、その一方で、資金調達や税務、法令対応などで負担が増える場面もあります。
資金調達の手続きが必要になる
株式会社は株式を発行して資金を集められますが、新しく株式を発行する際には、会社法や定款に沿った手続きが欠かせません。また、外部の投資家から出資を受けると、持株比率や議決権の関係で経営に影響が及ぶこともあります。
税務が複雑になる
法人になると、法人税や地方法人税、法人住民税、法人事業税など、複数の税金について申告と納付を行う必要があります。消費税や源泉所得税の対応が必要になるケースもあり、個人事業に比べて経理や税務の負担は大きくなりがちです。
さまざまな手続きが必要になる
株式会社は、株主総会の開催や決算公告、役員変更の登記など、設立後もさまざまな手続きを適切に行う必要があります。必要な手続きや申告を怠ると、過料や延滞税が発生する可能性があるため、継続的な管理が求められます。
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株式会社には、株主の責任を出資額の範囲に限定できることや、社会的な信用を得やすいこと、資金調達の幅が広がることなど、さまざまなメリットがあります。一方で、設立や運営には一定の手続きが必要になり、税務や経理の負担が増えることもあります。
株式会社が適しているかどうかは、事業の規模や今後の成長方針、資金調達の方針などによって異なります。事業形態を選ぶ際は、長期的な事業計画を踏まえて検討することが大切です。
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株式会社設立に関するよくある質問
株式会社は1人でも設立できますか?
はい。取締役会を設置しない株式会社であれば、発起人1人、取締役1人でも設立できます。同じ人が発起人と取締役を兼ねることも可能です。
株式会社設立にはどれくらいの資本金が必要ですか?
株式会社は、資本金1円から設立できます。ただし、設立後の事業資金や取引先からの信用、許認可の要件なども考慮して、事業計画に合った金額を設定することが大切です。
株式会社にはどのような税金がかかりますか?
株式会社には、法人税、地方法人税、法人住民税、法人事業税などが課されます。また、資本金や売上高、インボイス登録の有無によっては、消費税の申告と納付も必要です。




